広島高等裁判所 昭和27年(う)371号 判決
訴訟記録を精査し、所論を検討するに、原判決が唯一の補強証拠として美農秋治に対する検察事務官作成の供述調書を掲げているが同人に対する検察事務官作成の供述調書なるものは記録中に存在しないことは所論のとおりである。
然しながら、美農秋治に対する供述調書は、本件記録中には昭和二十七年一月二十三日付検事作成の供述調書が一通あるのみである。しかも同供述調書の末尾に検察事務官山根勝成の署名捺印があるので、原審はこれを誤認して検事作成の供述調書と記載すべきところを誤つて検察事務官作成の供述調書と記載したものと認められる。記録中に美農秋治に対する供述調書が他にもあつて彼是判別し難い虞があるような場合には簡単に誤記として片づけ難いことは勿論であるけれども、本件のような場合にはその表示方法が多少違つたとしても同供述書を指しているものであることは明かに知り得るところであるから、誤記と認めたとしても何等不当とはいえない。